今日のイッピンは切子です
切子は細工の美しさとみる人の心を魅了します。切子は江戸切子、薩摩切子が有名ですがこの日本の伝統美の種類、歴史などを見ていきましょう。
江戸切子
江戸切子は天保5年に江戸でビードロ問屋を営んでいた加賀屋久兵衛が、西洋から持ち込まれたガラス製品に金剛砂を使って切子細工を施したのが江戸切子の始まりと言われています。黒船が来航した時、献上品の中に加賀屋の切子瓶があり、その細工の美しさにペリーが驚いたという話も残っています。明治時代に入るとガラス製作のが政府の事業の一つとなり、ヨーロッパの新しい技術なども導入され、江戸時代後期から続く江戸切子の伝統は耐えることなく現代に受け継がれてきているのです。江戸切子は庶民が日常的に使うものとして作られました。色被せガラスが薄く、透明感や華やかさが特徴で幕末・明治維新を乗り越えて、現在に受け継がれています。
薩摩切子
薩摩藩28代目藩主島津斉彬は諸藩に先駆けて造船、製鉄、紡績、印刷など大規模な近代化事業を推進します。この中にガラス工場も含まれており、薩摩切子を始めとする様々なガラス製品を製造していました。「薩摩の紅ガラス」とその美しさを称賛されたガラスの着色方法も研究され、紅、藍、紫、緑などの発色に成功したと言われています。しかし斉彬が急逝するとこの事業も縮小され、1863年の薩英戦争で工場が焼失し、明治に入ってから西南戦争前後には薩摩切子の技術も完全に途絶えてしまいました。それから約100年経った1985年、鹿児島市に薩摩ガラス工芸が設立され薩摩切子が復元されました。
切子グラスや食器のお手入れ
切子はとても繊細なので、その取扱い方にも注意が必要です。特にグラスや食器など、頻繁に出番がある物のお手入れの方法は、柔らかいスポンジや布などを使って洗うい、食洗機は使用しない。急な温度変化に弱いので熱いものはもちろん、冷蔵庫に入れるのもNGです。ほかの食器との接触で割れやすいので気を付ける。重ねるのは厳禁油汚れのものと一緒に洗わない。拭く時も柔らかい布で丁寧に優しく行なうなどのことに気を付けましょう。それでもある程度使っていると「くすみ」が生じてきます。その場合は家庭用の漂白剤を薄めて浸すこと数分で、くすみが取れて切子の輝きが復活します。