今日のイッピンはピーマンです
苦手な野菜は「ピーマン」と答える子供は多いのではないでしょうか。しかし子供にピーマンを食べて欲しいと思う親御さんは多いと思います。そんな「ピーマン」について調べてみましょう。
名前の由来
「ピーマン」という名前はフランス語で唐辛子を意味するピマン(Piment)に由来するそうです。「ピーマン」はフランス語ではポワーヴロン(Poivron)というそうです。英語ではベルペッパー(Bell pepper)、なかでも緑色のものはグリーンペッパー(Green pepper)と呼ばれています。英語では「胡椒」も「唐辛子」も「ペッパー」です。
今も昔も子どもはピーマンが嫌い
「ピーマン」は唐辛子の一種で、アメリカで品種改良された言わば「辛くない唐辛子」です。この唐辛子の原産は熱帯アメリカで、コロンブスのアメリカ大陸発見によりヨーロッパに渡り普及しました。唐辛子が日本に伝わったのは16世紀頃だそうです。
一方の「ピーマン」が日本に伝わったのはだいたい明治の初め、19世紀の中頃らしいです。しかし、当時のピーマンは大型で肉厚の品種。独特の香りが強いため、それほど普及しませんでした。
一般家庭の食卓に登場するようになったのは第二次世界大戦後のことなのです。食料品には経済統制の網がかけられ、ほとんどの食品は自由に売買することができませんでした。だが、「ピーマン」はその対象外だったのです。もともと、ほとんどが売買されていなかったため、役人が見落としたのです。いつの世にも頭のいい人はいるものです。
これに目をつけたのが、東京近郊の農家だったそうです。米や他の野菜は自由に作ることは出来ませんが、「ピーマン」は規制されていないために、勝手に作って勝手に売買できたのです。戦後の食糧難の時に、「ピーマン」は焼け跡の闇市で飛ぶように売れたのだそうです。こうして日本人は「ピーマン」の味を覚え、その後、日本人の嗜好がしだいに肉食へと変わるなか、消費量が急速に伸びたのは、昭和30年代後半からです。肉と合うピーマンはしだいに日本の食卓の野菜に加わるようになったのです。しかし、当時の「ピーマン」は子どもの嫌いな野菜のナンバーワンでした。
ピーマンの栄養素
そもそも「ピーマン」はカロテンやビタミンCが豊富。ピーマン100グラム中のビタミンC含有量は約80ミリグラム。レモンの2倍に当たるビタミンCが詰まっています。中ぐらいの大きさの「ピーマン」4個で1日の所要量をとることができます。現在、その栄養分はそのままに。品種開発され、クセが少なく、肉の薄い、緑色の中型「ピーマン」が誕生し、出回るようになりました。さらに、緑色の「ピーマン」は未熟なうちに収穫したものですが、完熟させると、赤、オレンジ、黄色になるものもあります。
ピーマンとパプリカの違い
ピーマンの語源はフランス語からですがパプリカの語源はハンガリー語のパプリカ(Paprika)だと言われています。見た目似ていて見分けづらいとされるピーマンですが見分け方の決め手はその大きさと形です。ピーマンはパプリカに比べると小さめで細長い形をしているのに対して、パプリカは大きく丸みがあります。ピーマンは肉薄く鮮やかな濃い緑色をしています。パプリカは肉厚で、赤や黄色、オレンジ色、海外には紫や茶色などのカラフルなものもあります。
パプリカとピーマンの栄養素は似ていますが、パプリカの方がピーマンよりもビタミンCとカロテンを多く含んでいます。風邪予防や疲労回復に効くビタミンCはパプリカがピーマンの約2倍、抗発がん作用もあるカロテンについてはパプリカがピーマンの3倍近く含んでいます。またパプリカでも赤いパプリカより黄色いパプリカのほうがビタミンCは多く含まれています。味に関しては、パプリカは果汁が含まれていて甘みがありますが、ピーマンは青臭さに加えて「クエルシトリン」と呼ばれる成分による苦みを感じます。
ピーマンはサラダや料理の色どりなどにも使用範囲が広がっています。現在は多くの日本人に食べられる野菜になっているといえるでしょう。もし、役人が食料統制に「ピーマン」を加えていたら、私たちは「ピーマン」をそんなに食べていなかったのかもしれませんね。